フィギュアスケートの選手にとってグランプリシリーズは世界と戦う大舞台です。全部で6大会あり1人2試合まで出場できます。順位に応じてポイントが付き、合計ポイントの多い男女6名が12月に実施されるグランプリファイナルに出場できます。
同じ国籍の選手の出場枠は1大会で最大3名までと決まっています。2018年日本の女子シングルは各大会に3名づつ選手を出場させているため、出場枠の上限に達しています。よって日本女子シングルは、これ以上選手を出場させることができない状態です。
さて、そうなると気になるのは選考基準です。日本スケート連盟はどうやって出場させる選手を決めるのか?そして2019年グランプリシリーズの出場選手はどうなるのか?考察してみました。
2017年-18年シーズンの選手データ
グランプリシリーズの出場条件はwikiを見れば詳しく書いてあります。簡単に言うと
グランプリシリーズ出場条件
・世界選手権6位以内
・世界ランキング24位以内
・シーズンベスト24位以内
実際には参加しない選手もいるので世界ランキングが30位だったりしても出場できたりします。
最終的には各国のスケート連盟がそれぞれ出場させる選手を選ぶので、かなりブラックボックスなのが現実です。そこで日本の男女シングルで、2018年シーズンのグランプリシリーズに出場した選手のデータをまとめてみて選考基準はなんなのか考察してみました。
2018年選手のデータ(シーズンベスト順)
男子シングル(17-18年シーズン終了時)
シーズンベスト | 選手 | 得点 | 世界ランク | 全日本 | 2018GPシリーズ |
---|---|---|---|---|---|
2 | 宇野 昌磨 | 319.84 | 2 | 1 | 2試合出場 |
3 | 羽生 結弦 | 317.85 | 3 | ― | 2試合出場 |
14 | 田中 刑事 | 260.31 | 18 | 2 | 2試合出場 |
17 | 友野 一希 | 256.11 | 19 | 4 | 2試合出場 |
46 | 無良 崇人 | 225.41 | ― | 3 | 引退 |
57 | 須本 光希 | 214.45 | ― | 6 | ジュニア選手 |
75 | 佐藤 洸彬 | 199.2 | ― | 8 | 1試合出場 |
― | 山本 草太 | ※197.81 | ― | 9 | 1試合出場 |
※山本選手の得点は非公式記録
宇野・羽生・田中・友野選手が2018年グランプリシリーズ2試合にエントリーしています。山本草太選手、佐藤洸彬選手はNHK杯のみ1試合出場しました。
NHK杯は日本が開催国なので、ほぼ好きに選手を選べます。山本・佐藤選手が出場条件を満たしていないのに出場できるのは、開催国枠だからですね。もし須本選手がシニアデビューしたら、山本選手ではなく須本選手がNHK杯に出場したと思われます。
女子シングル(2017-18年シーズン終了時)
シーズンベスト | 選手 | 得点 | 世界ランク | 全日本 | 2018GPシリーズ |
---|---|---|---|---|---|
5 | 宮原 知子 | 222.38 | 8 | 1 | 2試合出場 |
6 | 樋口 新葉 | 217.63 | 4 | 4 | 2試合出場 |
9 | 坂本 花織 | 214.21 | 9 | 2 | 2試合出場 |
10 | 三原 舞依 | 210.57 | 7 | 5 | 2試合出場 |
19 | 本田 真凜 | 198.42 | 19 | 7 | 2試合出場 |
23 | 松田 悠良 | 195.56 | 54 | 11 | 2試合出場 |
24 | 山下 真瑚 | 195.17 | 55 | 10 | 2試合出場 |
26 | 白岩 優奈 | 193.18 | 28 | 9 | 1試合出場 |
27 | 紀平 梨花 | 192.48 | 44 | 3 | 2試合出場 |
31 | 本郷 理華 | 189.98 | 17 | 6 | 1試合出場 |
37 | 横井 ゆは菜 | 184.78 | ― | 8 | ジュニア選手 |
女子シングルは10人の選手が出場します。2試合が8人、1試合が2人です。グランプリシリーズの最大出場枠である18に達しています。
シーズンベストが選考基準?
男子シングルは出場している選手が少ないので分かりにくいですが、女子シングルのデータを見ると規則性が見受けられます。
結論から言うと
シーズンベストで選考している
と思われます。
特に分かりやすいのは本郷理華選手と松田悠良選手です。
本郷選手の方が松田選手より世界ランキングも全日本選手権の順位も遥かに上なのに、グランプリシリーズは1試合のみの出場です。でも松田選手は2試合出場ですよね。これはシーズンベストで選考している証拠ではないでしょうか?
ちなみに白岩選手も松田選手よりシーズンベストが低いため1試合のみの出場になっています。
紀平選手は松田・白岩選手よりベストは低いですが2試合出場できます。これは紀平選手が当時ジュニア選手だったので、フリーはステップの演目が一つ少ないことを考慮されたのかもしれません。ステップの点数分シニアと点数を比較すると不利になるため、その分3〜5点ほど下駄を履かせて選考した可能性があります。そうする計算上は松田・白岩選手を上回るので2試合出場も納得できますね。
(決してメディア推しではないと思いたい)
この結果より、日本スケート連盟は基本的にシーズンベストの順で出場選手を選考していると個人的に分析します。おそらく細かい誤差はあっても間違ってないと思います。
2019年グランプリ出場選手予想
シーズンベストでグランプリシーズンの出場選手を選考しているとなると、現在のシーズンベストで来年(2019年)のグランプリシリーズ出場選手は簡単に分かるということになりなす。
データよりシーズンベスト32位内であればグランプリシリーズに出場できると考察します。24位以内でも1試合しか出ない選手や出場しない選手もいるのでだいたい目安はそのくらいでしょう。
(本郷選手は31位で1試合出場)
男子シングルは出場条件を満たす選手が少ないため、NHK杯には救済処置で条件をクリアできなかった2名の選手を出場させる方法をとるはずです。
上記の条件を元に、男女シングルの2019年のグランプリシリーズ出場選手をシーズンベストより予想すると、結果は以下の通りになります。
2019.3.26更新
2019年男子シングル出場選手考察
順位 | シーズンベスト | 選手 | 判定 |
---|---|---|---|
2 | 300.97 | 羽生 結弦 | 2試合出場確実 |
3 | 289.12 | 宇野 昌磨 | 2試合出場確実 |
15 | 251.54 | 田中 刑事 | 2試合出場確実 |
22 | 238.73 | 友野 一希 | 2試合出場確実 |
41 | 220.45 | ※島田 高志郎 | NHK杯のみ |
47 | 213.40 | 山本草太 | NHK杯のみ |
50 | 210.31 | ※須本 光希 | 0〜1試合? |
次点:60位 日野龍樹
羽生・宇野・田中・友野選手は確実に2試合出場できます。
もし高橋大輔選手が復帰する場合は復帰条件(後述)に該当するため2試合出場できます。
島田選手がシニアデビューすると仮定すると、
島田・山本選手が1試合出場かなーといった感じです
(共にNHK杯のみ)
※は現在ジュニアの選手。
2019年女子シングル出場選手考察
順位 | シーズンベスト | 選手 | 判定 |
---|---|---|---|
2 | 233.12 | 紀平 梨花 | 2試合出場確実 |
6 | 222.83 | 坂本 花織 | 2試合出場確実 |
8 | 219.71 | 宮原 知子 | 2試合出場確実 |
13 | 209.22 | 三原 舞依 | 2試合出場確実 |
17 | 203.06 | 山下 真瑚 | 2試合出場確実 |
28 | 191.46 | 白岩 優奈 | 2試合出場確実 |
32 | 188.61 | 本田 真凜 | 2試合出場 |
33 | 184.09 | ※横井 ゆは菜 | 2試合出場 |
37 | 181.29 | 樋口 新葉 | NHK杯のみ |
48 | 176.14 | ※荒木 菜那 | ジュニア継続? |
49 | 175.19 | ※吉岡 詩果 | ジュニア継続? |
50 | 174.59 | ※住吉 りおん | ジュニア継続? |
83 | 157.59 | 松田 悠良 | NHK杯のみ? |
86 | 156.59 | 本郷 理華 | 出場不可 |
※は現在ジュニアの選手。
(荒木・吉田・住吉選手はジュニア継続か?)
女子は2018年の出場枠を参考に2試合8人、1試合2人の最大10名が出場すると仮定しました。まあ〜実際のところルール上、限度である18枠に達しているので成績が良くても女子は10人以上の出場は厳しいです...
紀平・坂本・宮原・三原・山下・白岩選手の6名は2試合出場確定でしょう。
2試合出場のボーダー上にいるのは本田真凜選手と横井ゆは菜選手です。たぶん2試合大丈夫だと思いますが、運が悪ければ1試合の可能性もあります。
おそらく横井ゆは菜選手はシニアに転向してグランプリシリーズへ初出場するはずです。全日本ジュニアも優勝したし日本スケ連も推すでしょう!
樋口新葉選手は残念ながら2019年は1試合のみ?になってしまうのでしょうか...
しかし樋口選手は日本スケ連から、特別強化選手に選ばれたので2試合出場の可能性もありそうです。
よって十中八九、本田・横井・樋口選手のいずれか1名が1試合のみになるだろうと推測されます。
松田悠良選手は1試合出れるか微妙なところにいます。ジュニア選手がシニア転向を宣言した場合は出られないかもです...
データで考察すると、本郷理華選手は2019年グランプリシリーズに出場できないと考えられます。さすがにランキング的に厳しそうです・・
このデータを見ると、女子は激しい競争を強いられる戦国時代の様子です。
まさに
振り向けばジュニア選手が迫っている!!
世代交代の波が激しいです。
優秀な選手が多いので出場できない選手はかわいそうですね。勝負の世界は厳しい...
しかし世代交代に逆らう選手がいる。期待されるのは高橋大輔選手の復帰です。世界選手権で優勝経験がある高橋選手は余裕で復帰条件を満たしているため、希望すれば2試合出場できます!
これは期待しかないでしょう!!!
『GPシリーズ復帰条件について』
Wikiより引用
過去10年間の世界選手権で上位6位に入った選手が復帰する場合、一度だけ2枠の出場枠を得ることができる。